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サディスティック・19
立花晶 白泉社 (花とゆめ)全7巻

ギャグ

<あらすじ>

基本的にはワンストーリー数ページの読み切りのマンガ。様々な“飛んだ”キャラクター達がシュールなボケを披露する。

キャラクター達の中で、好評を得て続きのストーリーを獲得したのは…、娘の聖理奈を溺愛し、ストレスが溜まると塀の上を走り出す中間管理職サラリーマン、通称“へいマン”こと木下孝男。敵対する日本へい同盟との戦いは深い意味も無く続く。飛んだ性格で大金持ちでサディスティックなわがまま娘の重政桂子と、それに苦労するサイボーグ執事のセバスちゃん。家庭的で愛される(?)妖怪、油すましのすまちゃん。耽美なナルシストマンガ家の西神田。顔が無表情人形で正体不明のシュメール。などなど……。
非現実的なキャラクター達が街を飛び交う。
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<みどころ>

これが少女試に連載されるマンガなのだろうか? この疑問を抱いたとしたら、それは妥当な疑問である。定番の恋愛モノとは全く違うのだ。綺麗なタッチで描かれるキャラはシュールで、発せられるのは不条理なギャグである。顔がギャグでなく少女マンガであるだけにその格差が楽しい。

少女誌掲載でありながらも実は男性にも読者は相当多く、女性の読者を上回っているという話も聞くのも、このマンガの異色さを現しているのだろう。ストーリーマンガではないのだが、性別にかかわらずに楽しめるマンガのひとつである。

ギャグマンガであるからにはそのギャグには人によって当たり外れがでるのは仕方が無いのかもしれないが、このマンガはその差が大きいかもしれない。だが、同じ合う合わないで読者に分かれ目がでるマンガでも、『すごいよ!マサルさん』のようなメジャーなギャグマンガとは違うのだ。「分からないんだな…」というものではなく、一般受けするものではないのかもしれないが、それがまたマイナーな感じがして発掘モノ的な面白さを感じる。

また、作者は千葉県民なのであるが、千葉県北西部に居住する読者であれば、コマの隅に時折混ぜられるいわゆる“地元ネタ”に気付けば、また+αの面白さが加わるだろう。地域の人に勧めてみたいと思わせてくれるのだ。これも幸か不幸か、分かる人にしか分からないマイナー色を付加してくれているのだが。

(ゆきりん)